オープンルーム(オープンハウスともいいます)は、新築物件や、不動産会社所有の物件に使われる宣伝力の強い販売方法です。
もし、仲介の不動産業者で、オープンルームを行ってくれるのでしたら、やってみる価値はあります。それは、マンションの購入者のほとんどは近所にいることが多く、予約不要で気軽なオープンルームは集客力が抜群で、しかも家主に気兼ねなく、気軽に見学できるからです。
しかし、実際のところ仲介の中古マンションの売買において、オープンルームを行ってくれる仲介業者は、ほとんどいません。なぜなら仲介の営業マンを1日中マンションに配置しなければならず、売れなかった場合は、不動産業者にとって採算がとれないためリスクが高いからです。
それでは、本日はオープンルームについてマンション売買研究家の私が解説いたします。
なぜオープンルーム(オープンハウス)を行うのか?
後ほど説明しますが、中古マンションでのオープンルーム(オープンハウス)を行ってくれる仲介業者はほとんどいません。
しかし、業者が所有するし販売する中古マンションではオープンルームはよく行われます。なぜならマンションが早く売れる可能性が高まるからです。
まずマンションの売却の基本ですが、早く売ること、具体的には販売開始から三ヵ月以内に売ってしまうことです。なぜなら三ヵ月を過ぎるとマンションの販売価格が下がることがデータからわかっています。
◆中古マンションの平均販売価格の価格推移
※期間は販売開始から売れるのにかかった期間です。

上記の表をみてもわかりますとおり、期間がたてばたつほど、マンションの売却金額は下がるのです。1カ月以内に売却するのと、1年かかって売却するのでは約500万円も違うのです。
この辺の内容は、以前書いた記事をご覧ください → マンションの売却期間の平均は約3ヵ月|早く売るコツは?
ですから、早く売ることが、マンション売却の基本であり、早く売る方法がオープンルームなのです。ではなぜオープンルームが早く売る方法なのかを解説いたします。
オープンルームは集客力が抜群
マンションの購入希望者は、実際は近所にいることがほとんどです。ですから周辺にチラシをまくと、その地域が気に行っている賃貸の方や、もっと買い替えを考えている方が、
「いつかはこの地域で物件を買いたい!」
と思っている人が必ずいます。しかも、そういった人たちの半分以上の方は、本格的にマンション探しをしていない潜在的な購入希望者です。
通常の不動産業者の宣伝(ポータルサイト登録や不動産業者の顧客リスト)では、アピールできないお客さんに宣伝することができるのです。具体的には、散歩中などにオープンルームの”宣伝ののぼり”をみつけて
男性Aさん「お!このマンション売りにでてるのか、どれどれちょっと見てみるか?」
主婦Bさん「オープンルーム明日までやっているみたい。。主人を連れて、明日みてみようかしら?」
といった具合です。そして、こういったキッカケから実際の売買につながることは意外と多いのです。
そういった購入者が見つかりやすいのも、オープンルームの看板やのぼりで近隣住民の目にあたることができるからです。そして、オープンルームは予約不要で気軽に見学できます。
ですから、オープンルーム中は、同じ時刻に1組だけではなく、2~3組と訪れる場合がありますが、この状態が見学者の”焦り”を生むのです。
見学者Aさん「あれ、人気なんだな、このマンション。早めに決断しないと、売れちゃうな。。」
といった心理状態になるのです。
集客力抜群で、売主に気を使わないで見学できるオープンルームは最強の中古マンションの販売手法とも言えます。
しかし、冒頭でも説明したとおり、オープンルームを行ってくれる仲介業者は、ほとんどいません。それは業者にとって手間とコストがかかりすぎるデメリットがあるからです。
業者の手間とコストがかかるオープンルームは仲介業者は開催してくれない!
新築だけではなく、中古マンションでオープンルームが開催されているのを、目撃したことがあると思いますが、それはほぼ不動産業者の持ち物件の販売で、仲介物件ではありません。
そういった物件は、不動産業者が安く買い取って、フルリフォームをかけて販売している物件です。フルリフォームは200万~かかりますから、業者は一刻も早く回収するために、オープンルームを行って販売強化します。
しかし、オープンルームは1日中、不動産業者の営業マン一人が現場に張り付いてないといけませんし、また、案内の看板を持っている人など用意しますから、コストがかかるのです。また、その間、営業マンはほかの業務ができません。
コスト換算すると1日で5万円~10万円の見えないコストと手間がかかっているのです。もし売れないとなると、リスクが大きくなります。
ですから売れる見込みの強く、リフォームでコストをかけた買取物件を販売するための手法として、使われることがあっても、仲介物件ではオープンルームは開催されません。
仲介業者にオープンルームを行ってもらうには!
とはいえ、なかなか売れないマンション物件でしたら、仲介物件でもオープンルームを行いたいですよね?不動産業者と媒介契約を結ぶ前に
売主「オープンルームを開催してくれませんか?」
と複数の不動産業者にもちかければ、専任媒介契約を結びたいために、一度は行ってくれる可能性があります。
あるいは次の方法が有効です。内覧予定者を土日に集中させて、その期間を内覧予定者と同時に、看板やのぼりをたててオープンルームに開催するように働きかけてみるのです。
こういった状況を作り出せば、仲介業者もオープンルームに応じてくれる可能性が高いです。
オープンルームは通常空き家にて行われます
オープンルームは居住中に行われることはありませんから、売るマンションが空き家である必要があります。当然ですが、オープンルームは業者にすべてまかせてしまいましょう。
売主がいると、見学者も気になってゆっくりできませんからね。オープンルーム終了後に、不動産業者からの報告を待ちましょう。
オープンルームの準備をする
もし、オープンルームを開催することができたのなら、以下の手順を理解しておきましょう。オープンルームは業者まかせでも、そのマンションを一番知っているのは売主のあなたですから、しっかり業者と打ち合わせでアドバイスをしましょう。
①チラシの確認
不動産業者まかせにしても、ちゃんとチラシを作成してくれますが、チラシを印刷する前に、チラシの内容をしっかり確認しましょう。
・間取りなどの物件情報に間違いはないか?
・物件の魅力は伝わっているか?
なにより、自分のマンションについて一番詳しいのは、売主さんですから、チラシを確認して意見をちゃんと不動産業者に伝えましょう。
②オープンルームの実施日の決定
土日の10時~18時で行いますが、注意点は近所のイベント、例えばお祭りや小学校の運動会なとど同じ日はまずいです。
不動産業者と打ち合わせ後、最短で1週間後から2週間後にオープンルームの実施になりますが、予測が難しいのですが、台風などは避けたいところです。
おススメは選挙の日です。通りをとおる人が多いですし、投票は夫婦で行く方も多いですから、投票後に、覗いてくれる人が多いからです。(なかなか選挙の日とかぶせるのは難しいですけどね。)
③マンションの管理会社や近隣住民への挨拶
これは不動産業者が行いますが、オープンルームの日程が決まったら、まずは管理会社や管理組合に連絡しましょう。そしてできれば隣の方にも事前連絡をした方が良いでしょう。
当日に知らない人がマンションに来るのですから、あなたの心象を悪くしかねません。、無用なトラブルを避けるためにも必要です。
④オープンルームに費用はかかますか?
仲介のマンション販売活動において広告費用がかかることはないので、オープンルームであっても費用はかかりません。
ただし、実際のコストは相当なものです。もし、オープンルームを一度行って、買手がみつかったときに、何度も開催できる宣伝方法ではありません。
仲介物件でオープンルームが行われない大きな理由は、手間とコストですから、費用は実際には大きくかかっています。
オープンルームを効果的にするポイント
◆玄関やトイレには芳香剤を
玄関は第一印象を左右しますから、きつ過ぎない芳香剤を設置しましょう。トイレなどにも新品のものを設置しましょう。
◆花を飾る
テーブルや棚の上には花を飾ると、明るい印象になります。
◆照明はすべてONに
やはり入った時に明るいと印象がかわります。また部屋の隅々までみれますから、オープンルーム中は照明を全て点けましょう。
◆ベランダで見た花火大会や、風景がよかった時の写真を用意する
ベランダの眺望が良い場合は、見学者が来た時が眺めが良いとは限りませんから、ベランダからみた綺麗な写真を、見学者が見れるようにしておくと、印象が良くなります。
◆マンション購入時のチラシや、工事写真、図面を用意する
購入時のチラシや、工事中の写真があれば、建物の信頼性を訴求することができます。また図面があると、見学者も具体的に把握できます。
◆写真を自由にとってもらう
売主さんにとっては、抵抗があるかもしれませんが、もし可能ならスマホなどで写真を自由にとってください!と一言で言えば、検討候補者は、オープンルームが終わって、家に帰ってからもスマホで確認できるので、有効な手段です。
見込みの高い見学者とは?
◆午前中の見学者
オープンハウスは午前より、午後の方が混むものです。しかし午前にくるということは「早く確認したい」という可能性がありますから、見込みが高いです。
◆家族連れの見学者
家族で確認をわざわざくるということは、家族全員の意見や印象をみるためです。見込み度が高いといえるでしょう。
オープンルーム後のアンケート
全員が書いてくれませんが、アンケートをお願いします。アンケート結果には、ネガティブなコメントもあるはずです。もし、その中に掃除や配置換え程度で、改善可能なものがあれば、2日目には改善しましょう。
また不動産業者の報告とあわせて、見込み客がいたかどうかを聞きましょう。
もし、オープンルームをしても誰も来なければ
集客力の高いオープンルームを行っても、人が集まらない場合は、マンションの販売価格が高すぎる可能性があります。または、マンションに需要そのものがない可能性もありますので、販売戦略や価格の見直しを行いましょう。
オープンルームを行ってくれる仲介業者を探そう!
オープンルームは仲介業者は行ってくれないのが前提です。しかし、交渉次第で行なってくれる可能性はあります。一番良いのは、契約前に「オープンルームを行いたいのですが」と交渉してみることです。
それには不動産業者を無料の一括査定サービスを使って2社~6社に交渉してみましょう。ただ目的はオープンルームではなく、高く売ることなので、業者から高く売る提案や実績を聞いて判断しましょう。