知らない人が多いと思いますが、不動産業者にマンションの売却を依頼する時に、業者と媒介契約というのを結びますが、何も知らないで業者に全てまかせると「専任媒介契約」という契約を結ばれてしまいます。
でも実は、業者と結ぶ媒介契約には3種類あるのです。
・一般媒介契約 <==筆者おすすめの契約
・専任媒介契約 <==最もポピュラーな契約
・専属専任媒介契約<==この契約をする人はレア!
そして現代において一番売主にメリットがある契約は「一般媒介契約」です。
なぜなら、「専属」も「専任」もインターネットができる前にできた仕組みで、かつて物件の情報を伝達するためには業者の力が絶対に必要な時代の契約形態でしたが、現在は情報の伝達は簡単な登録作業で全国津々浦々まで伝達する時代です。
あえて業者が有利な「専属」や「専任」を結ぶ必要はないのです。
本日はマンション売却研究家の筆者が、媒介契約について解説いたします。
3種類の媒介契約を覚えよう!
まずは不動産業者と結ぶ、媒介契約には3つの種類があります。
①一般媒介契約<==筆者おすすめの契約
②専任媒介契約
③専属専任媒介契約
まずは下記の表で、各媒介契約の全体感と違いを把握しましょう!
3種類の媒介契約の違いをまとめた表
①一般媒介契約 | ②専任媒介契約 | ③専属専任媒介契約 | |
---|---|---|---|
複数の業者と契約 | OK | NG | NG |
あなたが買主と直で契約 | OK | OK | NG |
業務報告義務 | なし | 2週間に1度 | 1週間に1度 |
レインズへの登録義務 | なし | 7日以内 | 5日以内 |
契約期間 | 期限なし | 三ヶ月間 | 三ヶ月間 |
※レインズとは、不動産業者が使う物件情報検索システムの事です。このシステムで全国の不動産業者があらゆる物件情報を取得することができます。一般の方は見れません。
①一般媒介契約とは?
一般媒介契約は、不動産業者があまり喜ばない契約です。その理由は他の業者とも契約できるため、せっかく広告にお金や労力をかけても、他の業者で契約が決まってしまえば、1円にもならないからです。
そのため不動産業者には、売主に対して業務報告義務も、レインズの登録義務もありません。ただし、一般媒介契約は複数の業者を使ってマンションを高く売るための契約です。後ほど、詳しく説明します。
一般媒介契約のメリット
✔複数の業者と契約が結べる
✔あなたが買主を直で見つけた場合、業者に手数料は発生しない。
一般媒介契約のデメリット
✔売れ筋案件ではないと、放っておかれるリスクあり
✔不動産業者が喜ばない契約のため、専有や専任より、やる気が落ちる
✔売れ筋の物件の場合、複数の不動産屋から連絡がきて大変
✔内覧会のスケジュール調整も全部自分で行う必要性がある
②専任媒介契約とは?
特に業者に何も言わないと、結ばれてしまう契約がこの専任媒介契約です。ほとんどの方がこの契約です。専任媒介契約は、不動産業者が喜ぶ契約です。その理由は売主が確保できているので、物件が売れた場合は、売主からの報酬の仲介手数料が保証されるかです。
さらに買主も業者が見つけた場合は、買主からも仲介手数料がとれる可能性があります。売主と買主両方から手数料をもらうことを、業界では「両手」といい。悪質な不動産業者は「両手」にするために、買主を自分で見つけるまで、レインズの登録や、広告を打たない業者もいます。
契約期間は三ヶ月毎と法律で決められています。専任媒介契約で三ヶ月たっても物件が売れない場合は、この時期に見直します。
専任媒介契約のメリット
✔不動産業者が喜ぶ契約なので力を入れてもらえる可能性が高い
✔あなたが買主を直で見つけた場合、業者に手数料は発生しない。
専任媒介契約のデメリット
✔もし業者が気にいらない場合は、三ヶ月間変更できない。
✔複数の業者と契約が結べない
③専属専任媒介契約とは?
専任専属媒介契約は、不動産業者が最も喜ぶ契約です。その理由は、たとえ買主を売主が見つけた場合でも、必ず手数料をとれる契約のためです。売主にとっては一番拘束される契約形態になります。しかしこの契約をする人はレアで、ほとんどいないのが実態です。
不動産業者が、一番力を入れてくれる契約と言われていますが、筆者は現在においてこの契約を結ぶメリットがあるのかは疑問に感じています。
専属専任媒介契約のメリット
✔不動産業者が最も喜ぶ契約で、力を入れてくれる可能性が高い
専任媒介契約のデメリット
✔もし業者が気にいらない場合は、三ヶ月間変更できない。
✔買主を自分でも見つけた場合でも、不動産業者を通して、手続きが必要のため仲介手数料が発生する。
✔複数の業者と契約が結べない
媒介契約の中で「一般媒介契約」が一番良い理由とは?
理由1 広告手法や広告の制限は「一般」も「専任」も変わらない!
まず、媒介契約に関わらず、不動産業者が買主を見つけるために、どんな宣伝や広告を行っているのでしょうか?下記にまとめました。
・レインズへの登録
・自社ホームページへの掲載
・不動産ポータルへの掲載
・ちらし掲載
これを媒介契約ごとにまとめた表が下記です。
一般媒介契約 | 専任媒介契約 | 専属専任媒介契約 | |
---|---|---|---|
レインズへの登録 | 可能 | 義務 | 義務 |
自社ホームページへの掲載 | 可能 | 可能 | 可能 |
不動産ポータルへの掲載 | 可能 | 可能 | 可能 |
ちらし掲載 | 可能 | 可能 | 可能 |
この表を見てもらえば、わかるのですがどの契約であっても広告掲載や登録は同じです。レインズの登録も、一般媒介契約であっても、不動産業者は登録します。してくれない場合はお願いするだけです。してくれない場合は、他の業者に依頼すればいいだけなのです。
逆に専任や専属だからといって、必ずしもホームページへの掲載やちらし掲載を積極的に行ってくれる保証はありません。なぜなら業者は売主を自社で囲い込み、買主も自分で見つけるまで、たとえ買いたいという人が来ても「その物件はもう話が進んでます」と断るケースもあるというのです!これは恐ろしいことです。
そういったリスクも一般媒介契約ならありません。
理由2:「専任」や「専属」は時代に合わない古い契約形態
そもそも今の媒介契約が法律で制定されたのは、インターネットがない時代です。インターネットがない時代は、売主の物件情報を人々に伝達させるためには、専任媒介契約や専属媒介契約で、不動産業者にしっかり広告・宣伝してもらう必要があったのです。
しかし、現在はインターネットやレインズというシステムで、あなたの物件情報は登録するだけで、全国に知れ渡ります。ですから、契約形態によって、物件の広告の露出力に差はないのです。
理由3:一般媒介契約だから買主に見られる機会が増える!
これは当たり前なのですが、一つの業者にお願いするより、複数の業者に依頼した方が、買主にあなたの物件がみつかる確率はグンっと高くなります。
そして、これが専任や専属だった場合、契約後、もし業者があまり頑張ってくれない場合などは、三ヶ月間は業者を切り替えことができません。
しかし一般媒介契約の場合は、もし契約後も気にくわない業者であれば、他の業者と契約すればいいだけの話です。
もちろん、専任や専属でも、失敗したと思えば、三ヶ月後に契約を切って、ほかの業者と付き合うこともできますが、マンション売却においてはこの三ヶ月は致命傷です。
以下のグラフをご覧ください。
マンション価格の期間による下落率

引用記事:売却期間別 中古マンションの価格かい離率(三大都市圏)
マンション売却は売却期間の時間が経つほど価格が下がるのです。ですから「専任」や「専属」でいい業者にあえれば問題ありませんが、もしやる気を出してくれず、売れなければ、三ヶ月間もロスするのです!
一般媒介契約の注意点
筆者がおすすめする一般媒介契約にも注意点があります。
築年数が古く、郊外にあるような売れないマンションの場合
こういった場合は、一般媒介契約のため、どの不動産業者もまったく力を入れない可能性がありますので、専任媒介契約を結んだ方がいいかもしれません。
ただし、こういった物件は、すぐには売れませんので持久戦になります。ですからいきなり専任媒介契約を結ぶのではなく、下記のように
①媒介契約で不動産業者3社と一般媒介契約を結ぶ
↓
②3社の中で一番熱心で経験がありそうな業者と専任媒介契約を結ぶ
最初は一般媒介契約で数社と契約して、その中から専任媒介契約を結ぶようにしましょう。
業者から連絡がたくさん来る!一般媒介契約は忙しい!
一般媒介契約は、複数の業者と契約するため、連絡が頻繁に来ます。そして内覧会のスケジュール調整は、業者ではなく、自分自身で行う必要がありますから、忙しいです。
ですから逆に「手続きがしんどいから売れるなら業者に全てやって欲しい」という方は、専任媒介契約や専属専任媒介契約の方がおすすめです。
ある程度の不動産知識が必要!
専属や専任と違って、全てを業者に任せられる契約ではないですから、自分自身でも不動産知識がある程度必要です。なぜなら複数の業者を束ねるには、局面で自分が持っている情報を軸に判断する場面があるからです。
とはいってもマンション売却の本を一冊よんだり、インターネットで情報収集して、情報武装するくらいの知識で十分です。
ですから、これもシンドイという方は専任や専属の方がいいでしょう。
最後に「結局は営業マン次第」
本日は媒介契約について解説しましたが、結局はいい営業マンと出会うことが重要になってきます。それは大手だからということではありません。
営業マンが気合を入れれば売れない物件などないのです!
大手であっても、出来る営業マンもいれば、相性の悪い営業マンもいます。ですから一人でも多くの営業マンと話して、信頼できる営業マンを探すことです。
そういう意味でも、高値でマンションを売るためには、多くの業者と契約ができる一般媒介契約が一番なのです。
多くの営業マンと出会うには、まずは一括査定サービスを使って不動産業者を6社くらいピックアップしましょう。