マンション売却や買い替えを検討している方は、税金がどれくらいかかるのか気になりますよね?しかもインターネットや本をみて、複雑な税金の計算式をみても理解するのが難しいです。
さらに「確定申告でいくら申告するの?」「控除を受けられるのか?」「税率はいくら?」と、一般の人にはよくわからないことだらけです。
でも安心してください。マンション売却の税金は以下の4ステップだけで全て理解できます!
ステップ1:マンション売却で税金を「払う人」と「払わない人」がいる。
ステップ2:マンションを売却したら「全員確定申告」します。
ステップ3:マンションの確定申告で「控除を受けられる5つのパターン」
ステップ4:マンション売却の税金の「税率」を計算する。
ステップ1からステップ4を順に読んでいくだけで、完全にあなたに必要なマンション・不動産売却に関する、税金の考え方が理解できるのです。
本日はマンション研究家の私が誰にでもマンション売却や買い替え時の税金をシンプルに理解できるように、まとめてみましたのでご覧ください。
マンション売却の税金を理解する4つのステップ!
それではステップ1からステップ4まで紹介していきます。
必ずステップ1から順にステップ4を読んでください。「税金のかかる人」と「かからない人」から、それぞれの「税率」まで、すべて理解できるように構成してあります。
ステップ1:マンション売却で税金を「払う人」と「払わない人」がいる
ステップ3:マンション売却の確定申告で「控除を受けられる5つのパターン」
ステップ1:マンション売却や買い替えで税金を「払う人」と「払わない人」がいる。
まずは下記の図をみてください。
マンション売却や買い替えで「税金のかかる人」と「税金のかからない人」がすぐにわかるイメージ図

マンションの売却で税金のかからない方とは?
上記の図のとおり、マンション購入時の価格より、マンション売却の金額が安かった方は、損失(譲渡損失)が発生していますから、マンション購入時に税金はかかりません。さらに確定申告で控除申請ができます。次のステップ2をご覧ください。
<税金がかからない方の例>
2,200万円(マンション売却価格)ー2,800万円(マンション購入時価格)
=ー600万円(譲渡損失が発生!)
※計算を簡単にするめため取得費用(仲介料など)は省く。
マンションの売却で税金のかかる方とは?
上記の図のとおり、マンション購入時の価格より、マンション売却の金額が高かった方は、利益(譲渡所得)が発生していますから、税金がかかります。
ただし、この後に説明する控除申請を行う方や、払いすぎた税金の還付(申請して、払いすぎた税金を国から返してもらう)を受けるために確定申告が必要になりますので、次のステップ2をご覧ください。
<税金がかかる方の例>
7,800万円(マンション売却価格)ー3,000万円(マンション購入時価格)
=4,800万円(譲渡所得の発生!)
ステップ2:マンションを売却したら「全員確定申告」します。
マンション売却で、利益が出た方も、損失が出た方も全員確定申告をします。特に損益が出た人は、数百万円も還付金が戻る事があるからです!また利益が出た人も、還付金が戻るケースがあります。
マンション売却で損した人がなぜ確定申告するのか?
損益を出した人は確定申告すれば、還付金(国から戻ってくるお金)が確実に受け取れるからです!
だから確定申告をしましょう。ステップ3をご覧ください。
マンション売却で利益が出た人が確定申告をしないと?
利益が出た人は必ず確定申告を行います。もし確定申告をしないと延滞税を国から請求されるので、必ず確定申告をしましょう。
そして利益が出た人でも還付金を受けられる場合がありますので、ステップ3をご覧ください。
マンションを買い替えた人も確定申告をしよう!
マンションを買い替えた人向けに、国は控除を用意していますから、ステップ3をご覧ください。
ステップ3:確定申告で還付金が受けとれる5つのパターン
それでは、ステップ3では確定申告をすることによって、還付金を受けとることができる5つのパターンを解説いたします。次のパターン①から⑤の中であてはまるものを探してください。
パターン①マンション売却で損失を出した方で「自宅マンションを買い替えた方」
パターン②マンション売却が自宅の買い替えではなく「マンションの売却をして住宅ローン残高が売却金額より上回った方」
パターン③マンション売却で利益が出た方で、「マンション売却の譲渡所得が3,000万円以下の方」
パターン④マンション売却益が出て、売ったマンションが「10年以上住んだ自宅である場合」
パターン⑤マンション売却益が出て「マンションの売却価格より買い替えのマンション購入金額の方が高い場合」
パターン①マンション売却で損失を出した方で「自宅マンションを買い替えた方」

正式には「居住用財産の買替え等の場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除」と言う特例です。
パターン①は下記の条件を満たした方が還付金申請を確定申告できる条件になります。
・マンション売却で損失を出した方
・自宅マンション売却3年間に以内に「新しい自宅マンションを購入」した方
・新しい家の住宅ローンが残っている方
の方が対象です。確定申告できる控除額の計算は下記のとおりです。
自宅マンションを売却した例
2,200万円(マンション売却価格)―2,800万円(マンション購入時価格)
=ー600万円 → 600万円が控除額
※計算を簡単にするめため取得費用(仲介料など)は入れていません。
※600万円が戻ってくるわけではありません。給与などの所得収入に課せられている税金分(所得税、住民税)が確定申告により戻ってくるということです。
自宅マンションを買い替えた方が年収600万の場合
ざっくりですが、年収600万円の方の住民税と所得税は1年間で55万円程度です(人によってかわりますので目安です)。確定申告をすると55万円が戻ってきます。さらに最長4年間の損益の繰り越しができるので、4年間で220万円が還付金として、手元にもどってきます。
※計算を簡単にするめため取得費用(仲介料など)は入れていません。
◆確定申告で必要な書類
「居住用財産の買替え等の場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除」を確定申告する場合の必要な書類は以下の通りです。
(1)居住用財産の譲渡損失の金額計算の明細書
(2)売却したマンションの登記事項証明書
(3)売却したマンション所在地の市町村区から交付される住民票の写し
(4)新たに購入したマンションや戸建ての登記事項証明書
(5)新たに購入したマンションや戸建て所在地の市町村区から交付される住民票の写し
(6)新たに購入したマンションや戸建ての借入金の残高証明書
この特例をもっと詳しく知りたい人は国税局のHPをご覧ください!
パターン②マンション売却が自宅の買い替えではなく「マンションの売却のみをして住宅ローン残高が売却金額を上回った方」

正式には「特定のマイホームの譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例」という特例です。
パターン②は下記の条件を満たした方が還付金申請を確定申告できる条件になります。
・所有期間が5年以上のマンションで、住まなくなった日から3年目の12月31日に売ること
・売買契約日の前日において、マンションの住宅ローンが10年以上の残高があること
・マンション売却金額が住宅ローン残高を下回ること
・マンションの買い替えや住宅を購入しなくても適用可!
の方が対象です。確定申告できる控除額の計算は下記のとおりです。
マンション売却の例
2000万円(マンション売却金額)―6000万円(マンション購入時の金額)
=4000万円の譲渡損失(注意:控除できる金額ではありません!)3000万円(住宅ローン借入金残高)ー2000万円(売却金額)
=1000万円が控除できる金額の上限(損益通算できる金額)
※計算を簡単にするめため取得費用(仲介料など)は入れていません。
この例は1000万円が戻ってくるわけではありません。1000万円分の税金(所得税、住民税)が3年に渡って繰り越し免除することができます。ですから確定申告をすれば、先に支払った、所得税と住民税の3年分を取り戻すことができるのです。
参考までに年収600万円の所得税と住民税の1年間の合計は55万円程度(人によって変わってきますので、目安ととらえてください)ですから3年間で165万円が還付されます。
◆確定申告で必要な書類
「特定居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除」を確定申告する場合の必要な書類は以下の通りです。
(1)売却したマンションの売却金額の明細書(確定申告書付表)
(2)売却したマンションの譲渡損失の損益通算及び繰越控除の対象となる金額の計算書
(3)登記事項証明書や売買契約書の写しなどで所有期間が5年超を証明できるもの
(4)住宅ローンの残高証明書(契約前日のもの)
この特例をもっと詳しく調べたい方は国税局HPをご覧ください。
パターン③マンション売却で利益が出た方で、「マンション売却の譲渡所得が3,000万円以下の方」

正式には「3,000万円特別控除」という特例です。
マンション売却で利益が出て、税金がかかるからといってがっかりするのはまだ早いです。なぜなら譲渡所得が3,000万円以下の方は、税金が控除されるからです!
この仕組みを使えばほとんどの方が、税金の控除を受けられるはずですので、必ず確定申告をしましょう。とはいえ税金を控除するには一定の条件がありますので、以下が条件になります。
・売却したマンションに住まなくなってから3年を経過する年の12月31日までに譲渡(売却契約)が終わっていること。
・マンション売却先が、配偶者や血族ではないこと。
・売却した日から2年間で、この控除やその他の控除を受けていないこと。
上記の条件を満たす方は、払うはずの税金が控除されます!
譲渡所得が3,000万円以上の方も、この控除を活かせます!下記の例のように3,000万円が超える場合も、3000万円の控除額を差し引くことができます。
マンション売却の例
4500万円(マンション売却譲渡所得)ー3000万円(控除額の3000万円)
=1500万円のみ課税対象に!
◆確定申告で必要な書類
「3000万円の特別控除」を確定申告する場合の必要な書類は以下の通りです。
(1)売却したマンション所得の内訳書(確定申告書付表兼計算明細書)
(2)売却したマンション所在地の市町村区が発行した住民票の写し
この特例をもっと詳しく調べたい方は、国税局のHPをご覧ください。
パターン④マンション売却益が出て、売ったマンションが「10年以上住んだ自宅である場合」

正式には「10年超所有軽減税率の特例」という特例です。
売却したマンションにずーと住んでいたケースで、自宅の買い替えであった場合に軽減税率の控除が受けられます。下記の条件を満たす必要があります。しかもパターン④はパターン③と一緒に控除を受けることが可能です。
・売却したマンションに10年以上住んでいたこと。
・マンション売却先が、配偶者や血族ではないこと。
・売却した日から2年間で、当控除やその他の控除を受けていないこと。
上記の条件を満たす方は、税金の軽減税率の控除が適用されます!どれくらいの控除が受けられるかというと下記の表をみてください。
区分 | 居住年数 | 通常 | この控除だと |
---|---|---|---|
所得税 | 5年以上 | 15% | 10% |
5年未満 | 30% | 10% | |
住民税 | 5年以上 | 9% | 5% |
5年未満 | 5% | 5% |
つまり、譲渡益が6,000万円以内なら、通常の所得税が30%のところが10%になり、住民税が9%のところが5%になる控除をうけられます!
※ただし6,000万円を超えると、超えた分の金額に対して税率が高くなります。(譲渡益が7,800万円だとしたら、6,000万円以上の1,800万円の部分が上記の表のように課税されます。)
◆確定申告で必要な書類
「10年超所有軽減税率の特例」を確定申告する場合の必要な書類は以下の通りです。
(1)売却したマンションの登記事項証明書の原本
この特例をもっと詳しく調べたい方は国税局のHPをご覧ください。
パターン⑤マンション売却益が出て「マンションの売却価格より買い替えのマンション購入金額の方が高い場合」

正式には特定居住用財産の買い替え特例という特例です。
自宅用のマンションを買い替えて、買い替えたマンションの方が高額な場合に税金の優遇制度がうけられます。ただしパターン③とパターン⑤の併用はできません。
この特例は、実は税金が無くなったりという控除ではありません。自宅マンションを売却した際に発生する譲渡益に対する税金の支払いを先伸ばしにできるという控除です。そして先延ばしにした税金は、買い替えたマンションを売却した際に、支払う仕組みになっています。
下記の条件を満たす方です。
・売却したマンションより、買い替えた自宅の購入金額の方が高いこと
・売却したマンションに10年以上住んでいたこと
・マンション売却先が、配偶者や血族ではないこと
・売却した日から2年間で、この控除やその他の控除を受けていないこと
・売却価格は1億円以下
上記の条件を満たす方は、本来売却して、利益が発生するので、税金(所得税と住民税)を払わなくてはなりませんが、この制度を利用すれば、譲渡所得に対する税金が免除されます!
◆確定申告で必要な書類
「特定居住用財産の買い替え特例」を確定申告する場合の必要な書類は以下の通りです。
(1)譲渡所得の内訳書(確定申告書付表兼計算明細書)
(2)売却したマンションの登記事項証明書(原本)
この特例をもっと詳しく調べたい方は国税局のHPをご覧ください!
パターン①~⑤に該当しなかった方は税金がマンション売却の際に控除が受けられません!
上記のパターンに該当しなかった方は控除が受けられません!ですから支払うべき税金をしっかり理解するために、ステップ4でマンションの税金を理解しましょう。
それではステップ4に行きます。
ステップ4:マンション売却の税金の「税率」を計算する。
まずは譲渡所得を計算しよう!
税金がかかるのは譲渡所得に対してです。譲渡所得の計算方法は下記のとおりです。
譲渡所得 =
①マンション売却益+(②マンション購入金額+③取得費+④譲渡費用)
①マンションの売却した価格
②マンション購入時の価格
③マンション取得に際にかかった手数料(仲介手数料などからやマンションの原価償却費を引いたもの)
④マンション譲渡の際にかかった手数料(仲介定数料など)
マンション所得の税金は”課税譲渡所得”といいます。つまり税率はマンションの所有期間によって2つのパターンにわかれます。
譲渡所得にかかるは税率は2種類
譲渡所得にかかる税率は2種類あります。
所有期間が5年以下は「短期譲渡所得」
所有期間が5年以上は「長期譲渡所得」
2種類になります。税率については下記の表にまとめした。
マンションの税金の計算方法
譲渡所得が6000万円以下の場合 | |
---|---|
所得税 | マンション譲渡益 × 税率10% |
住民税 | マンション譲渡益 × 税率5% |
譲渡所得が6000万円を超える場合 | |
所得税 | (マンション譲渡益-6000万円) × 税率15%+600万円 |
住民税 | (マンション譲渡益-6000万円) × 税率5%+240万円 |
結構、税金かかりますね!。でも税金の計算は、所有期間が長期なのか短期なのかで、所得税と住民税が変わるだけなので、計算自体はとても簡単です。
マンション売却(買い替え)時の税金のまとめ
マンションの税金は複雑なのは、ケースによっていろんな控除があるからです。ステップ4のとおり、マンションの税率の計算自体は非常にシンプルです。(高いですけどね!)
何度もいいますが、税金の控除や還付金は確定申告を受けないと、そのメリットを受けることができませんので、確定申告の書類を用意して、忘れずに申告手続きをしましょう。マイホームであった場合、いろんな控除が受けられますからね!
そしてこれからマンションを売却するという方は、まずはマンションの一括査定サービスを使って、複数の業者から査定を受けましょう。