自宅マンションを売却した方のほとんどが、マンションを購入時より、売却時の金額が安いため損をしています。なぜならマンションは築年数がたつと評価額も一般的には下がってくるものですから、当然です。
しかし、マンション売却で損をした方が、最大で4年間にわたって所得税と住民税がゼロ円なるのをご存知ですか?
通常マンション等の不動産を売却した際の損益は、給与所得などのほかの所得の利益と相殺することはできませんが、以下の2つのケースは特例として、損益を確定申告して、給与所得から生じる利益と相殺することができるのです。
特例①5年を超えて居住用のマンションに住んでおり、購入時より安くマンションが売れた場合で住宅ローンが残っていた場合
特例②5年を超えて居住用のマンションに住んでおり、購入時より安くマンションが売れた場合でマンションを買い替えた場合
それでは、本日はマンション売却の研究をしている私が、マンション売却で損をした方が税金で優遇される仕組みについて解説いたします。
最大4年間、住民税と所得税が無料になる条件とは?
この特例は平成27年の12月31日で期限が切れる予定の法律でしたが、2年間延長されることが決定しました。住宅ローンが残っていて、マンションを売却する人のほとんどが対象となる特例です。特例は2つあります。
①住宅ローンが残っているマンションを売却して損が発生した方
②マンションを買い替えて、マンション売却して損をした方
それでは、一つずつ解説していきます。
①住宅ローンが残っているマンションを売却して損が発生した方
この特例は正式には下記名称です。詳細は国税庁のHPに記載されています。
マンションを買い替えないで売っただけの場合の特例
「特定のマイホームの譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例」
国税庁のホームページより引用:https://www.nta.go.jp/taxanswer/joto/3390.htm
私がわかりやすくこの特例をざっくり解説いたしますと、下記の方が条件になります。
(1)5年以上、売却した居住用自宅マンションに住んでいた事
(2)マンション購入時より、売却時の方が安い事
(例:2800万で購入したマンションを10年後、1800万円で売却、1000万円損した)
(3)住宅ローンが残っている事
です。もっと細かい諸条件がありますが、だいたいこの3つの条件をクリアしていれば、ほとんどの方が対象です。対象の方は確定申告をすることで、税金(所得税と住民税を)を最大4年間ゼロ円にすることができます。
確定申告して、マンションの売却損を申告して税金をゼロ円にする
②マンションを買い替えて、マンション売却して損をした方
この特定の正式名称は下記です。
マンションを買い替えた方の特例
マイホームを買換えた場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例
国税庁のホームページより引用:https://www.nta.go.jp/taxanswer/joto/3370.htm
同様に、簡単に対象の方を説明しますと
(1)5年以上、居住用自宅マンションに住んでいた事
(2)マンション購入時より、売却時の方が安い事
(例:2800万で購入したマンションを10年後、1800万円で売却、1000万円損した)
(3)マンション買い替えを行い、新たなマンションに住宅ローンが10年以上あること
となります。こちらも「日本国内に限る」「親族に売却していない」等々細かい条件がありますが、ほとんどの方が上記の(1)~(3)を満たしていれば対象となります。条件に合致した人は、次のトピックスを
「確定申告して、マンションの売却損を申告して税金をゼロ円にする」をご覧ください。
確定申告して、マンションの売却損を申告して税金をゼロ円にする
マンションを売却した翌年の2月16日から3月15日の1か月間の間に確定申告をしなくては、この特例のメリットを受けることはできません。
では、マンションの売却損を申告して、どれくらい税金がもどってくるのでしょうか?
具体的な例で解説いたします。ここでは、下記の設定で税金を計算します。
※本来はマンション売却の諸経費や減価償却を入れて計算しますが、ここではわかりやすく解説するため省いて計算します。
<確定申告で税金が戻ってくる人の設定>
年収600万円の方で扶養家族が二人
4,000万円で購入した新築マンションを2,000万円で売却
それでは、上記の方の設定で、計算ステップを6つにまとめたので一つずつ見ていきましょう。
計算ステップ①損益を計算!
マンション購入金額から売却金額を引いて、損益を計算します。
マンション購入金額:4000万円
マンション売却金額:2000万円
4,000万円 - 2,000万円 = 2,000万円(損益)
マンションの損益が計算できましたら、あならの年間利益を計算するため給与所得を計算します。
計算ステップ②給与所得を計算!
給与所得は給与額と同じではありません。そこから控除額を引いた額になります。下記テーブルを参考にして、給与所得を計算しましょう。

年収600万円の人の給与所得は上記の「360万円~660万円以下」に入りますから、計算式は以下の通りです。
600万円ー(600万円*20%+54万円)=426万円(給与所得金額)
給与所得金額がでましたら、課税対象額を計算します。次のステップをみてください。
計算ステップ③給与所得金額から、その他控除金額を引いて課税対象額を計算します。
給与所得金額から下記の控除されるべき金額を引きます。この方のように扶養家族がいる場合は、この設定では一人33万円になります。
・社会保険料70万円
・生命保険料5万円
・基礎控除38万円
・扶養家族控除奥さんと子供二名で33万円×2=66万円
426万円ー(70万円+5万円+38万円+66万円)=247万円(課税所得)
ここまでの計算で税金(所得税と住民税)を算出するための課税所得がわかりました。では次に課税金額をもとに、所得税と住民税を算出します。
計算ステップ④課税対象額から、所得税と住民税を算出
所得税と住民税を計算します。
所得税の算出は下記テーブルに基づきます。ここでは課税金額が247万円ですので、テーブルでは「195万円超え、330万円以下」になります。
所得税の計算テーブル

テーブルに当てはめて計算すると下記の計算式になります。
247万円(課税所得)×10%ー97500円=149,500円(所得税)
住民税はざっくり10%で計算しましょう。
247万円(課税所得) × 10% = 247,000円(住民税)
1年間の所得税と住民税を算出ができたので、次に最初に計算した、マンション売却による損益と、課税所得を比較して、何年間(最高4年間)繰越控除が適用されるかを計算しましょう。
計算ステップ⑤ 還付される金額を計算
課税所得(利益)が247万円
マンション売却損(損益)は2000万円
課税所得 × 4年間(繰越控除)=988万円
988万円(繰越控除の対象の課税所得) < 2000万円の損益
課税所得が4年間で2000万円以内でしたら、その分の所得税と住民税が還付されるのです。
(149,500円(所得税) + 247,000円(住民税))×4年間 = 1,137,500円
約114万円が4年間で還付金として帰ってきます!
還付金はいつ帰ってきますか?
確定申告から、一ケ月から一か月半後に指定の口座に振り込まれます。
マンション売却で損をした人のまとめ
本日紹介した、2つの特例は特例ですので平成29年までの措置です。(延長されるかもしれませんが)
また、これらの優遇制度は当然確定申告した人だけが対象となります。確定申告は少し面倒かもしれませんが、4年間で100万円以上もかえってくることもありますので、ちゃんとこの制度を利用して、住宅ローンの足しにしましょう。
もしこの記事を見た人が、これからマンション売却を考えているのでしたら、まずはマンション査定をお願いする不動産業者を探しましょう。不動産業者は一社より複数社検討した方が、マンションが高く買い取られる可能性が高いです。
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