中古マンションの寿命はどれくらいなんでしょうか?古いマンションの購入を検討するときに、いつまで住めるのか?そして将来修繕によって建て替えは行われるのでしょうか?
マンションの寿命は観点により変わります。構造的寿命は100年を超しますが、マンションの建て替えの全国平均は33.4年ですが、建て替えができるマンションは全国的にも稀です。
今後の日本ではマンションの寿命というのは、構造的な寿命よりも、居住性において先に寿命がきてしまうことが多くなります。居住性において寿命が過ぎたマンションというのは居住者が少なくなり、ただただマンションが古くなることです。
本日はマンション売却の研究家の私が、マンションの寿命についてリサーチしてみました。
全国の建て替えられたマンションの年数
下記は東京カンテイの全国のマンションの建替え年数の調査結果です。つまりマンションの寿命の平均とも言えるデータです。

画像・データ引用:東京カンテイ
この表を見ると、東京が極端に寿命が長いですが、これは1924年の東京大震災直後に国によって設立された財団法人の同潤会のマンションが築70年を超えても現役であったため、平均を引き上げているからです。
東京大震災で被害を受けた東京・横浜の各地に建設した鉄筋コンクリートの集合住宅。名前は財団法人の名前からきており、「上野下アパート」を最後に、現在は全て建替えられたが築年数70年を超えても現役のマンションが多かった。
このデータから言えるのは、マンションの建て替えの全国平均は30年~40年程度と言えます。しかし、築40年を超えるマンションでも、現役のマンションは全国に多くあります。
つまりマンションの寿命には、コンクリートの耐用年数を考えた、構造的寿命と、居住性においての寿命の二つの寿命の考え方あります。
マンションの構造的寿命
結論から言うと、メンテナンスをしっかり行えばマンションの構造的な寿命は100年を超します。マンションを構造的的な観点、つまりコンクリートの耐用年数などの観点から解説いたします。
コンクリートの耐用年数
鉄筋コンクリートの寿命は、国土交通省がまとめた研究結果によると117年と推定されており、ゆうに100年を超えています。マンションによって、寿命は異なります。
コンクリートの劣化は、鉄筋部分の鉄が錆びることから劣化がはじまりますので、鉄筋を覆うコンクリートがあついほど、耐用年数が高くなります。
マンションの各設備の寿命
マンションのコンクリートの寿命は、100年を超える一方で、各設備の寿命はそんなに長くはありません。下記図は、「三菱電気ビルテクノサービス」のホームページから引用しました。

この中で、マンションの寿命に影響する設備は、「エレベーター」と「配水機構」の二つです。
エレベーターの寿命
まず、エレベーターの法廷耐用年数は17年です。法定耐用年数とは、減価償却にかかる年数が税法上定めらています。
ですから17年を過ぎるとメーカーが管理会社に営業をかけてきますが、エレベーターのメーカーの耐用年数は20~25年ですので、やはり図にあるように、25年~30年でエレベーターのリニューアルが必要になります。
配水機構の寿命
マンションの配管の寿命は、20年~30年と言われておりますから、30年も過ぎると大規模修繕が必要になってきます。排水管・給水管のメンテナンスを行わないと、建物内の漏水や、飲み水に鉄分や錆びが入り込み、健康被害が発生します。(健康被害より、そんな水を飲むのは精神的にまいちゃぃますね!)
エレベーターの全撤去リニューアルの相場は1,200万円~1,500万円です。一部部品をそのまま使う、部分リニューアルは400万円~600万円程度です。
全撤去だと、工期が一ケ月間かかってしまうので、エレベーターが一基しかない場合は、部分リニューアルがほとんどです。工期も一週間程度で済みます。交換する部品を最小限にする工事方法です。
マンションの耐震性
マンションの構造的な寿命を語る上で、欠かせないのが耐震性です。耐震性の基準は、1981年に新耐震基準になりました。
旧耐震基準:「震度5程度の地震で倒れない住宅」
新耐震基準:「震度6強以上の地震で倒れない住宅」
マンションの寿命と直接関係します。なぜならマンションの建替えが議論になる時に、新耐震基準であるかどうかで、建て替えの判断になるからです。
ただし古い旧耐震でも耐震工事が施されている場合があります。
居住性においてのマンションの寿命
マンションが構造的にはメンテナンスさえしっかり行えば築100年以上の居住も可能ということは、前のトピックスでも説明いたしました。
しかし、居住性においてのマンションの寿命というのは、間取りや設備が古くなり、マンション居住者とのニーズが合わなくなってきていることです。居住者が、「もうこのマンションは古くて住めない」と判断することです。
居住者が年老いた場合、設備が古いマンションでは住みにくいでしょうし。
マンションが古くなれば、賃貸化が進み、賃貸化が進むと、空室化が進み、人が済まないマンションになっていきます。
つまりこういう状態にマンションがなったとき実質上のマンションの寿命が尽きていると言えます。全国にはこのような空室化したマンションがたくさんあります。
では、なぜこうなる前に建て替えが行われないのでしょか?それには理由があります。次のトピックスで紹介いたします。
老地区マンションは建て替えが行われにくい
少し前のニュース記事ですが、ZakZakの記事によると、老地区マンションの建て替えが事実上不可能という面白い記事が掲載されました。
引用記事:老朽マンションの「建て替え」はほぼ不可能という現実
その記事によると、2013年の4月において、旧耐震基準のマンションは全国に38,000棟以上あるなか、建て替え準備中は218件、つまり0.5%程度です。
建替えが進まない理由は3あります。
建替えが進まない理由①そもそも住みたい立地ではない
建替えは、通常、住戸数を増やして、増やした分を分譲でデベロッパーに販売して利益を出してもらうことで、建築費を捻出するのですが、マンション建設時と時代が変わり、人が集まらないような立地になっているケースが多いのです。
そうなると建て替え費用を捻出することができなくなるため、建て替えが不可能なのです。
建替えが進まない理由②マンションの容積率
マンションを建てるには、いろんな法律に準拠しないと建てることはできません。その一つが容積率です。ここでは簡単に説明しますが、敷地面積に対して、マンションの高さは決められています。それが容積率です。
つまり容積率がすでに100%だと、それ以上、高いマンションは建てることができないです。高いマンションに建て替えることができないということは、住戸数を増やすことができないので、建築費を捻出できないのです。
建替えが進まない理由③建替えに必要な5分の4の合意が困難
マンションの建て替えには、居住者の5分の4の合意が必要ですが、古いマンションですと、居住者も年老いて、建て替えを望まない居住者も多く、建て替えに必要な合意人数に達しないケースです。
また、住民負担があるケースがほとんどなので、経済的に余裕がない居住者は反対せざるを得ません。
マンションの寿命のまとめ
本日はマンションの寿命をあらゆる角度で解説しました。現在においてマンションの寿命というと、構造的な側面より、居住者としての社会的側面により、寿命が来てしまうことがほとんどです。
そして高齢化社会を迎える日本にとっては大きな問題で、今後も建て替えが進まないマンションが増えていくことは確実です。ただ政府も対策を講じています。
例えば、マンション建替えの合意の割合を「5分の4」から「3分の2」に引き下げたり、マンションの容積率の法律の緩和を検討しています。
しかし、高齢化社会で、人口が減っていく中マンションの建て替えを促進していくのは、大変なことです。
もし、あなたの分譲マンションが築30年を超えている場合は、売却を検討してみてはいかがでしょうか?
都心で築30年過ぎでしたら、まだまだ買い手はつきます。築年数が古いマンションは複数の業者から査定をとったほうが、マンションが高く売れる可能性が高くなりますから、マンションの一括査定サービスを利用しましょう。