核家族が増え、親元を離れて生活するのが当たり前の世の中になり、親が亡くなって、親が住んでいたマンションを相続する方も多いでしょう。
親が亡くなる前は、介護や世話で大変だったと思いますが、親が亡くなると相続が発生しますから、すぐに不動産等の遺産の確認が必要になります。
残した遺産が戸建ては土地が残りますので、更地にすれば活用方法は多くありますが、マンションは築年数が過ぎると、どんどん価値が下がってきますから、居住しないなら相続したマンションはすぐに売却したほうがよいのです。
本日はマンション研究家の私が、マンションの相続から、売却、そして確定申告まで全て解説いたします。
マンションの相続税や所得税、経費はどれくらいかかるの?
まず親の遺産が入ったからといって、単に喜ぶ人はいないでしょう。それにかかる税金や経費が気になるからです。しかし、安心してください。実は親が裕福ではない限り、相続税はかからないのです。また価値のない古いマンションなら不動産譲渡税もかかりません!
しかし、相続の際の”登録免許税”がかかってきますので、まずは、相続に関してどれくらいお金がかかるのか?各税金・費用について解説いたします。
①相続税(実は親が裕福ではないと発生しない!)
②マンションの相続登記のための登録免許税
③相続したマンション売却時に発生する”不動産譲渡税”
について、順に解説してまいります。
①実は親が裕福ではないと”相続税”は発生しない!?
親の遺産の相続税を普段考えないと思いますが、「いっぱい国に税金もってかれるのかな~」と不安に思いますよね?でも安心してください。実は親が裕福つまり3,600万円以上の資産をもっていないと、相続税は発生しません。
相続税には基礎控除額があり、基礎控除額とは
基礎控除額
3,000万円+(相続人の数×600万円)=基礎控除額
ですから不動産を含む親の遺産が3000万円で、相続人が2人の場合の基礎控除額は
親の遺産が3,000万円で相続人が2人の場合の基礎控除額の例
3,000万円 + (2人×600万円)=4,200万円(基礎控除額)
4,200万円(基礎控除額)>3,000万円(親の遺産)親の遺産が3,000万円で相続人が2人の場合は、相続税は発生しない
しかし、親の遺産が8000万円で、相続人が2人の場合は先ほどの式を利用すると、
親の遺産が9,000万円で相続人が2人の場合の基礎控除額の例
3,000万円 + (2人×600万円)=4,200万円
4,200万円(基礎控除額)< 9,000万円(親の遺産)9,000万円-4,200万円=4,800万円(相続税の対象額)
親の遺産が9,000万円で相続人が2人の場合は、相続税の対象額は4,800万円ですから、20%の960万円に控除額200万を引いた760万円の相続税が発生します。※控除額は下記の相続税早見表を参考にしてください。
つまり、親の遺産が最低でも3,600万円(遺産全て:現金、不動産、保険、車等)を超えないと、相続税は発生しないのです。
基礎控除額を超えて、相続税が発生する場合は下記の表をみて、相続税を計算してみてください。計算は簡単です。
相続税の計算方法
課税遺産額(遺産ー基礎控除額)×税率ー控除額=相続税の金額
※税率や、控除額は下記の相続税早見表をみてください。
相続税の早見表
基礎控除額を除い課税遺産額 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
1,000万円以下 | 10% | 無 |
1,000万円超~3,000万円以下 | 15% | 50万円 |
3,000万円超~5,000万円以下 | 20% | 200万円 |
5,000万円超~1億円以下 | 30% | 700万円 |
1億円超~2億円以下 | 40% | 1,700万円 |
2億円超~3億円以下 | 45% | 2,700万円 |
3億円超~6億円以下 | 50% | 4,200万円 |
6億円超 | 55% | 7,200万円 |
この早見表をみれば、わかりますが日本の税金は、高額な遺産を持っている人から多くの相続税をとるような税制になっておりますが、反面、遺産が少なければ、相続税は発生しません。
②マンションの相続登記のための”登録免許税”
親の残したマンションを相続するために、親から相続人へ名義の変更を行う必要があります。この行為を”相続登記”といいます。相続登記の流れは後ほど解説します。
相続登記には”登録免許税”という税金がかかります。固定資産税の0.4%ですから、
親のマンションの固定資産税が2,000万円の場合の登録免許税は?
2,000万円×0.4%=8万円
また、それだけではなく、相続登記を行うには、戸籍謄本や住民票などが必要になりますので、登録免許税だけではなく、数千円程度の諸費用がかかります。
相続登記をしないでおくと取り返しのつかないデメリットを受けます。
相続登記をしないデメリット
①相続登記に必要な亡くなった方の”住民票”や”除籍謄本”など必要な種類がとれなくなる。
②相続人の誰かが亡くなると、相続人の妻や子供が相続人になり、権利が複雑になる。
③相続人が高齢化で認知症などで、遺産分割協議がしにくくなる。
④相続人の誰かが、相続登記を勝手に行い、本来相続できるものも差し押さえられる。
このように、相続登記を放っておくと、もっと面倒な事になったり、遺産相続まで途方もない時間がかかってしまうのです。
③相続したマンション売却時に発生する”不動産譲渡税”
マンションを売ったことによる、不動産譲渡税は通常20%と高額です。
例えば、親のマンションが諸経費を引いて、2,000万円で売却できたのなら、税金で400万円も持ってかれます。しかし、早めに売るといろんな面で特になりますが、
その前に親がマンションの取得費用がいくらかかったのかを確認する必要があります。なぜならマンションの譲渡益は、マンションの取得額を考慮していいからです。
親のマンションの取得費を確認すると、不動産譲渡税が0円になることも!
もし、マンションの売却譲渡額(仲介手数料など取得額を引いたもの)が1,500万円であった場合、マンションの購入額が3,000万円であれば、不動産譲渡税は下記のように損益になりますから、不動産譲渡税が発生しないのです。
1,500万円(売却額)ー3,000万円(取得額)=-1,500万円(損益に!)
ですから、親がマンション購入時の契約書等をすぐに確認しましょう。
親のマンション購入時の契約書が見つからない場合は、下記のものが証明書として代替可能です。
・新築マンションの売り出しパンフット
・住宅ローンなどの借り入れ書類
上記もみつからない場合は、購入当時のマンションの近隣公示地価と比べる「建物の標準的な建築価格」と比べて算出する方法があります。
もし、何もマンションの購入額を証明することができなければ、マンションの譲渡額の5%となってしまい、大きな不利益をこうむりますので、親のマンションの購入の契約書をすぐに確認しましょう。
相続したマンションを売るなら早い方がいい3つの理由
先に説明したように、マンション譲渡額より、マンションの取得額が小さければ、損益となり、譲渡益は発生しません。しかし、そうではない場合も、早めに売ったほうがいい理由は3つあります。
①相続してから3年以内に売却すれば税制で優遇される
②マンションは築年数とともに、売却額が安くなる
③管理費・修繕費が毎月かかる
では一つひとつ解説します。
①相続してから3年以内に売却すれば税制で優遇される
例えばマンション売却額(諸経費を除いた)が8000万円であった場合、親のマンション所得額が5000万円ならば、
相続してから3年以後の売却は損!の例
(8,000万円-5,000万円)×20%=600万円(不動産譲渡税)
相続してから3年以内で相続税の500万円相続税を取得費に計算できる!
(8,000万円-(5,000万円+500万円))×20%=500万円(不動産譲渡税)
このように、相続から3年以内に売却すれば、相続税を取得税として申告できる制度があります。
②マンションは築年数とともに安くなる
土地が残る戸建ての相続とは違い、マンションは築年数とともに資産額がどんどんさがりますから、居住しないのであれば、早めに売却した方がいいのです。
③管理費・修繕費
戸建てと違い、マンションを相続すれば、管理費・修繕費がかかりますから、毎月数万円の出費になります。居住や賃貸にださないのであれば、すぐに売却をしましょう。
マンションを高くうるならマンションの一括査定サービス
①~③をみてもらい、相続したマンションに住まないのであれば、すぐにマンションを売却した方が、いいでしょう。マンション売却は1社にお願いするのではなく、複数社に査定したもらったほうが、売却金額が高くなる可能性が高まります。
一括査定サービスに申し込み、最低でも3社にマンションを査定してもらいましょう
相続からマンション売却、確定申告までの流れ
それでは、つぎにマンション売却から確定申告までの流れを説明いたします。相続人が複数いる場合、は売却してから、売却金額を分割することになります。
相続したマンションを売却し、確定申告するまでの①~⑤までの流れ
①相続人間で、遺産のマンションの売却を協議
②相続登記を行い、マンションの名義を親から子(相続人)に移つす
③マンションを業者にお願いして売却
④売却代金を相続人で分配
⑤翌年、確定申告を行い、相続税や不動産譲渡税を申告
ざーとですが、このような流れになります。
相続するマンション売却のまとめ
相続する不動産が、マンションの場合は、居住しないのでしたら、すぐに売却に出すのがいいでしょう。賃貸も可能ですが、相続人が複数いる場合に、
「兄貴が相続したマンションを賃貸にだして儲けている」
など、兄弟間で揉めることになりますし、おそらく相続するマンションは古い場合が多く、賃貸に出しても、なかなか借り手がつきません。
揉めないためにも、相続したマンションはすぐに売ってしまい、さっぱり財産分与したほうがいいでしょう。
そして、少しでもマンションの売却金額を高くするなら、マンションの一括査定サービスを利用して、複数の不動産業者を紹介してもらいのが一般的ですから、下記リンクから申し込んでみてください。