急に親がなくなり、ビルオーナを相続した方は、莫大な相続税の支払いのためにビルを売って現金化を急ぐケースや、築年数の経過したビルの売却に頭を悩ましてはいませんか?ビルの売却は、カンタンではありません。
ビルは通常の戸建てやマンションの売却と違い、インターネットで公開して販売ができないケースが多く、業者のネットワークに頼って販売するケースが大きくなります。例えばテナントが入っている場合の売却や、エレベーターもないような古いビルはどのように売却すればいいのでしょうか?
本日はビルの売却方法や注意点について詳しく解説いたします。
ビル売却とマンション・戸建て売却の違いとは?
ビルの売却と通常のマンション・戸建ての売却にどんな違いがあるのでしょうか?通常のマンションの売却でしたら、買い手を見つけるために、ポータルサイトに登録したり、チラシをまいたりして露出を拡大するのが基本ですが、自社ビルの売却などは、露出しません。
ビルの売却の場合は露出することで、値が下がります。業界用語で「さらし物件」と言われており、ビルは物件情報を公開しないことで、値段をつけることができるのです。ですから、ビルが売りに出ているという情報は、不動産業者も信頼できる相手にしか公開しません。
そして、こういった情報だけを集める「ブローカー」が存在します。ブローカーはビル売買の情報を、日ごろから集めており、不動産業者に「仲介手数料の半分」を要求してきます。ブローカーは、双方から仲介手数料をとりますから、大きな儲けであり、1年に一度でも成約させれば、食べていけます。これを業界で「あんこ」と言います。
しかし、「あんこ」にはデメリットがあります。それはブローカーを挟むため、物件のことがよくわからないというデメリットです。そのためブローカーを仲介させる物件はトラブルが多いため、地に足をつけた不動産業者は、ブローカーを使うことはありません。
このように、ビル売却は不動産業者の独自のネットワークが重要になってくるのです。
ビルにテナントが入っている場合は売却できるのか?
テナントが入っていても、賃貸契約を新しい買主に引き継げば売ることは可能ですが、それだけ新しいオーナーがビルを自由にしづらくなるので、買い手候補も減ることになります。テナントに立ち退きを求めることもできますが、立ち退き料を支払はなくてはいけません。立ち退き料に相場はなく、数百万円~数千万円を負担することも珍しくありません。
もし、売却するビルが満室で、人気物件であるのなら、利回りの高いビルは投資用物件としての価値がありますが、ビルは一室でも空いてしまうと、利回りが悪くなり、投資家からは敬遠されます。
古いビルは売れるのか?
売れます。それも大喜びで業者は買ってくれます。ビルは戸建てとちがって、売る方法が多様にあります。
古いビルを売る方法は3つあります。
方法①リフォーム工事を行い、テナントを満室にしてから、売却する
まず入居者にとって魅力的にするために、リフォームを行います。リフォームを行いテナントを満室にしてから、売却するこで、投資用物件としての魅力がでてきます。ただ、言うは易く行うは難しであり、リフォームをしたからといって、必ずしも、借り手がつく保証はありません。なぜなら、そもそも借り手の需要ない立地であった場合は、リフォームを行っても入居者がつかないからです。
いずれにせよ、この施策を決意したら、後戻りができないデメリットがありますから、リフォームから戦略的に付き合うパートナーの不動産業者の力量が問われます。
方法②再開発が得な業者に売る
どんな古いビルでも、東京都心のビルであれば確実に売れます。なぜなら再開発に強い不動産業者が存在します。これらの業者は、ビルを買い取って、さらに近隣のビルにも売却を提案します。そしてまとまった土地を買収したら、その土地を再開発して、大きなビルを建てて、莫大な利益を得るのです。
ただ、地方のビルは再開発の候補とはならないため、この方法は使えないでしょう。
方法③全く新しい価値を創出して販売する
今までになかった価値を創造して、販売する手法です。例えば現在は外国人旅行者が急激に増えているため、慢性的なホテル不足です。そこでオフィスビルをホテルに転換するケースなどです。まずはその地区がホテルを建ててもよいか調べて、OKであれば、あとは施設の問題だけですから改装工事を行います。
このように、時代にあわせて新しい価値を創出して販売する方法がありますが、やはりパートナーの不動産業者の力量にかかっています。またこのような話には”胡散臭い”もうけ話が多いの事実です。
ビルを購入してくれる方とは?
中古ビルを売るには、どんな方が買い手候補となるかを考えて、買い手候補に魅力的な物件となるように戦略的に売らなくてはなりません。ビルを買い手としては下記の4タイプが存在します。
◆ビルの買い手候補
①良い立地のビルを探している企業・自営業者
②利回りの良い物件を探している投資家
③相続税対策を行いたい資産家
④リノベーションやリフォームノウハウのある不動産業者
⑤再開発を持ちかける不動産業者
買い手にとって、自分のビルがどのように見えるのかを考えて売ることが、高値でのビルの売却につながります。
ビルを売る3つの方法
では、ビルを売る2つの方法を紹介いたします。
①一括査定サイトに申し込む
一括査定サイトに申し込むメリットは、自分の知り合いに不動産業者がいなかったり、大手や地域の不動産業者など複数の業者の話を聞いて、査定を依頼したいときにメリットがあります。
最初から特定の不動産業者に行くと、その不動産業者が前提となり、その業者が実力があれば、良いのですが、もしそうではなかった場合、売却できなかったり、下手すると、リフォームなどを提案されて、数千万円のリフォーム費用をだしたのに、回収できないというデメリットがあります。
ですから、特定の不動産業者に知り合いやツテがない場合は、まずは一括査定サイトで、複数社の話を聞いてみるのがよいでしょう。
②ビルの買取り専門業者に依頼する
たとえば、相続したビルをすぐに現金化して、相続人で分配したり、相続税を収めたい場合は、この方法がおススメです。ビルの買取業者は、買い取ったビルをフルリフォームをかけて、運用したり、転売をこころみます。しかしデメリットは、買取り業者もリフォームをかけるので、多額なリフォーム費用の負担を軽くするために、なるべく仕入れのビルの買取価格を相当おさえます。
ですから、ビルを少しでも高く売りたいという方には向いていません。
ビルの売却は、まずは一括査定サイトに依頼する
ビルの買取は最後の手段です。そう考えると最初に一括査定サイトで、ビルの売却を仲介してくれる業者の話を3社程度から査定してもらうのがベストです。そして不動産業者によって、ビルの売却方法や、考え方がまったく異なってきますので、どの業者と付き合うべきか、1社1社見定めてください。